札幌へ戻ってきた数年前、まだ当時は札幌ラーメンの新しい潮流はなく(私が気づいてなかっただけかも)、どこへ行ってもみそラーメンばかりで食傷気味になっていましたが、最近「
麺eiji」や「
山嵐」に出会い、札幌にもみそ以外でしっかりとおいしいラーメン店があるんだと認識し、今度は札幌でトップクラスの人気店と誉れ高い「
あら焚き豚骨 あらとん」へ訪れることにしました。前2店と同様に、今回も我がひたすら食いまくる会神奈川支部長の友人氏に強く勧められて行ってみることにしました。いつもありがとう!いろいろ下調べをしてみると、この店の店主は東京西新宿の有名店「
麺屋武蔵」の店長をされていた方だそうで、何やら期待してしまいます。ただ、以前(もう10年ほど前)一度「麺屋武蔵」には訪れたことがあり、その時は人気絶頂だったので店の行列で2時間半も待たされ、その上、味がどうにも濃すぎてしょっぱいだけだと感じた苦い思い出があるので、ちょっと不安でもあります。きっと私が訪れた時の店長はまさしくこれから行く店の店長さんだったんだろうなと思いながら店に向かいます。

この店のロケーションは、「札幌市中央卸売札幌場外市場」(札幌が2回くっついててややこしい名前だけど正式名称らしい)の中にある「
札幌場外市場食堂長屋」(なげ〜)というところにあり、続けて書くと、「札幌市中央卸売札幌場外市場札幌場外市場食堂長屋」ということになります。漢字ばかりだと中国語っぽいので宴たけなわの北京オリンピックにちなんでいていいでしょ?(バカかオマエは)要するに、札幌市中央卸売市場の場外市場にある食堂の建物ってことですね。東京でいうと築地の場外市場にラーメン店があるような感じでしょうか。違うのは、築地場外は銀座から歩いても楽勝で行けるのに対し、札幌場外は札幌市街からは多少距離があるというところですね。おとなしく札幌駅から電車に乗って、お隣の「桑園駅」で下車後に徒歩で向かわれることをオススメします。それでも10分くらい歩きますけど。札幌市街からは二条市場という有名な市場が近いですが、そことこことはまったく別物なので、観光で来られる方には注意が必要です。関係ないですが、「札幌場外」と略してしまうと、札幌場外馬券売場だと思いがちですが(ホントか?)、札幌競馬場がここのそばにあるもののそれともまったく別物なのでご注意を。
店内は広くとられた厨房の2辺を囲むように14席ありましたが、その席は全部埋まり、さらに8人が席が空くのを待って並んでいました。私が訪れたのは平日昼の13時過ぎだったのですが、この混み方は札幌ではなかなかないのではないかと思います。店員さんは全部で4人いましたが、どうやら麺を茹でたりスープを作ったりといったラーメンの根幹の部分の作業は一人だけでしているようで、他の3人はそのサポートと接客が仕事のようです。

店内で先に食券を買うシステムで、メニューは上の写真の通りで、札幌のつけ麺の先駆けとなった「あらとん つけ麺」と、写真の券売機では「醤油」と書かれている「あら焚き豚骨 醤油」の2枚看板のようです。先客の注文を見ていると、大部分の客は「あらとん つけ麺」を食べていました。私はつけ麺よりも普通のラーメンが好きなので、今回は最初ということもあり、「あら焚き豚骨 醤油」に「あじ玉」プラスして注文することにしました。

出てきたラーメンは、縦長のどんぶりにいかにも濃そうな色のスープと、
麺eijiの「
濃豚つけBUTO」ほどじゃないにせよ、かなり太い麺の入ったラーメン。佇まいからして既に独創性豊かなものに見えます。具は、かなり大きなチャーシューと、大ぶりなメンマ、ネギ、さらには背脂がスープの上に浮いています。そういえば、「麺屋武蔵」のスープはとんこつベースではなかったので、外見はずいぶん違うなと思いました。
食べてみると、スープはとても濃厚なんですが、塩気が思いのほか少なくて、後味に魚のアラが由来していると思われるコクというか苦味を感じます。このコクと苦味がおそらくはこのラーメンの最大の特徴で、これは病み付きになる深い味わいです。スープの中でアラがこれほど主張しているにもかかわらず、生臭さが表に出てこないところがすごいですね。とんこつスープに関しては完全に脇役に徹していて、アラの刺々しい部分を緩和してまろやかにする働きがあったように感じました。本来ならとんこつが強く主張してくるスープが好きなんですが、今回ばかりはアラが主役で良かったです。
麺は、ゴリゴリとした歯応えがあって角のあるストレートの太麺で、アラのダシの効いたスープに負けない強い存在感がありました。いや、主張の強さでいえばスープよりも麺の方が強いかもしれません。この麺もスープ同様に他の店では食べたことのない味で、とてもインパクトが大きくておいしかったです。
具はなんといってもチャーシューの大きさに目を引きました。食感は固くてパサパサしているのですが、チャーシューはやわらかければ良いというものではないと身をもって示しているような存在感で、豚肉特有の固さをかえって武器にしていて、アラのスープをよく吸っていてこれもうまかったです。

まぁこれだけおいしければ、カロリーやら健康やらを気にしつつも当然の如くスープまで全部飲み干しちゃいますね。(当然のように別に注文していた)白ご飯との相性もバツグンのスープでした。私としては、やっぱり麺eijiの濃厚なとんこつスープが好みに合致していて好きですが、ラーメン全体の完成度でいえばこの店は群を抜いていますね。本当によくできているラーメンだと思います。「札幌ラーメン=みそラーメン」との固定観念が一般化している中にあって、この店の味はみそラーメン以外で強く全国に発信できる個性があると思います。まさに宝物ですね。使っているのが、北海道の食の代表である海産物のアラってところもいいじゃないですか。ラーメン好きみんなで大切に支えていきたいお店です。ってか人気店なので私が支える必要もないですけど(笑)。
難点をいえば、席に着くまでも、そしてラーメンが出てくるまでも、とても時間を要したこと。厨房を覗いているととても丁寧にスープを作ったり麺を茹でたりしてくれているのでしょうがない部分もあるのですが、並んでいることを考慮しても待ち時間が長いです。店員さんはたくさんいるものの、ラーメンを作っているのは結局店主一人だけなので、ちょっと14席という席数には無理があるのかなと感じました。これは私が行った10年近く前の「麺屋武蔵」でも共通するものでした。
もうひとついえば、どうも店員さんが店主さんにビクビクしながら動いているように見えたこと。決して怒鳴ったり不機嫌になったりしている店主さんではないのですが、客のこちらが緊張してしまうピリピリムードでした。東京でラーメン店巡りをしていた時も往々にして見慣れた光景ではありますが、ラーメン店だからこの雰囲気が特別に許されるというものでもないように思います。店舗の構造上どうしても店員さんの姿が見えてしまうので、和気藹々とした空気が欲しかったです。店員さんが店主さんの空気を読もうとするあまり、少し客への挨拶が欠けている店のような印象も受けました。気持ちの良い接客とは言えませんでした。もちろんこの雰囲気によって、店主さんの職人としてのプロ意識は十分に伝わってきましたけどね。
次は一番人気の「あらとん つけ麺」をいただこうかと思っています。つけ麺には「あら盛」(180円)という、通常の3倍の麺の量を設定できるそうですが、ちょっと私には食べきれる自信のないすごい山盛りだったので、普通の量で食べようと思っています。次回も楽しみだなぁ。
「
あら焚き豚骨 あらとん」
あら焚き豚骨 醤油 700円
住所:北海道札幌市中央区北十条西21丁目15-4 札幌市中央卸売場外市場食堂長屋
電話:011-612-6312
営業時間:9:00〜18:00
定休日:月曜日
ホームページ:
http://www.k3.dion.ne.jp/~yucho/nagaya-hp/index.htm